あれは、あたしが小学生の頃だから、もう50年以上も前のこと、、
休み明け月曜の朝は、校庭にみんなならんで校長先生のお話を聞かされました。
その日も、校庭にならんで、また、おもしろくない話かあなんて、はなくそほじっくってたらたらしてました。そ~いう不真面目な小学生5年生の春の月曜日だった。
「おざわせいじさんっていう世界的な指揮者がいるのです。」
と校長先生が話をはじめた、、
おざわせいじ、、、っていう名前を聞いて、あたしは、はなくそほじほじをやめて、どこかで聞いたことある名前だなあと、校長先生の話に耳を傾けた。
朝礼台の校長先生は、
(こんな感じだったな)
「日曜の朝テレビでやってる番組で「オーケストラがやって来た!」っていう番組を見た人もあるでしょう。この番組は、やまもとなおずみっていうタレントさんが、崇高なクラッシック音楽を茶化して紹介する、ふざけた番組なんだけど、昨日は、世界的な指揮者のおざわせいじさんがゲストで出ていた。小澤さんは、こんなふざけた番組なんだけどオーケストラを演奏するときは、実に真面目、汗だらだら賢明に指揮していた。こういうふうに、真面目にやることが大事で、それだからこそ、今、世界的な指揮者として活躍されておられる。君たちもしっかり、おざわさんを見習って立派になってください。」
そんなことを言われたように覚えています。
そうかあ、おざわせいじさんって、たしかに昨日、テレビで見たけど、そんなにすごい人だったんだなあ、、とか、あたしは、ぼやっと思ったのだけど、今にして思えば、、それが、あたしが小澤征爾さんのことを初めて知ったときだったな。
次に小澤さんのことを知ったのは、道徳の時間でしたね。あれも、4年か5年生のころか、、道徳の教科書に小澤さんの著書「僕の音楽武者修行」の中から、ブザンソンコンクールに応募して優勝したくだりが、そっくり掲載されてました。
アメリカ大使館の文化担当のおばちゃんに、応募が遅れたけれど、なんとか入れてくれと頼みにいったとき、あんたは良い指揮者か悪い指揮者からと聞かれたとき、胸はって、自分は良い指揮者になるだろうと言い切ったくだりには、あたしは、小学生だったけれど、なにか感動して、日本人としてちょっと誇らしかったなあ。あたしが、今年62歳になるから、このくらいのお年のみなさんで、道徳の時間、同じ様な経験をした方は、少なくないんだろうと思う。
19歳のころ、ロック、フュージョン小僧だったあたしが、クラシックを聞き始めたのは、大学時代の友達のT君の影響だった。
70年代の終わりから80年代のはじめかな。彼は、クラシックファンかつオーディオ好きで下宿にヤマハのNS690とか置いていて、DENONのプリメインとうプレイヤーで鳴らしてましたね。オーレックスのカセットデッキ(もちろんADRESS付)でもって、さかんにNHKーFMのクラシックライブをエアチェックしていました。
ちょうどベームが最後に日本公演をしたときで、その生中継を彼は全て録音していて、あたしにも聞かせてくれた。その頃、あたしは、クラシック音楽のどこが良いのかちっとも分からなかったけれど、それでも、あたしもT君にならって、当時NHK FMはクラシック番組満載だったので、片っ端から自分のラジカセで録音しては、聞いていきました。何がなんだか分からないことばかりだったので、ともかく吉田秀和先生の本を指南役にして、クラシックの世界に足を踏み入れたのでした。
クラシック音楽って、外国語を学ぶのに似ていて、ともかく聞いていく=経験する量を増やしていけば、だんだんと慣れてきて、いろいろ聞き取れるようになってくるし、かたちも分かるようになってくる。あ~なるほど、こんなこと言ってるんだってことを、本を読んでまたまなぶ。そうすると、さらに面白くなって、また聞いていく。するとさらに、いろんなことが分かってきて、こんどは、クラシック音楽そのものが面白くなっていく。さらに、いいオディオで聞くと、さらによく分かるし、楽しい。ついには、演奏時間が1時間もかかるブルックナーなんかも、いやあいいすね~とか言って楽しめるようになった今日このごろ(笑)。
そんな中でも、小澤征爾さんっていうのは、昔クラシック小僧だったみなさんにとっては、あたしと同様、言わばアイドルみたいな存在で、、ほんとにカック~イ兄貴っていう感じの存在でした。
他の日本の指揮者と違って、ドキュメンタリーとかも多数制作されて、ドラマ仕立てのものまでありましたね。そういうものをしっかり見ては、この人ほんとにかっくい~と、まあほんとに「あこがれた」ものでした。そうね、ロックだとビートルズ、クラシックだと小澤征爾があたしのアイドルっていう感じでしょうか(笑)。
2月6日、88歳で他界されたとニュースを見たときは、ほんとにびっくりしました。その後、追悼として小澤さん関係の動画が次々と上げられ、初めてボストン交響楽団との来日公演の映像やらを見て、小澤さんの実力をほんとに遅ればせながら実感しているところです。 特に81年の同楽団との来日公演の「春の祭典」はすごい!
バイエルン響との動画もあるけれども、こちらよりすごい。色彩感もあるし、細かい音まで聞こえるし、しかもドライブがものすごい! アイドルっていうか、かっくい~だけぢゃなくて、音楽的にも本当にすごかったんだ、なんて、あらためて思っています。
(顔は、ボストン響の方、、演奏はこの後です)
しかし、なにしろ小澤さんって言えば、やっぱり70~90年代の本当にさっそうとして、シャープでかっこよいあの姿なんですね。いや、ほんとにかっこよかったぢゃないですか、、、、
最晩年、車椅子で指揮された映像は、往時のすごさをリアルタイムで見た、あたしにとっては、少しつらかったな。もちろん、しょうがないことですが。
この連休は、小澤さんの動画をあれこれ見ました。ほんとに若くてエネルギッシュの時代、60代になってウィーンオペラの監督になって名実ともに世界的指揮者になったころ、そして晩年、お体を悪くされてからのすがた。
なんというか、あたし自分もこれからこういう道をたどるのだということを、小澤さんにお示しいただいなあという感じがしています。
60代の小澤さんは、バリバリの現役だったのだった、あたしも、まだまだがんばらないとな。そして、小澤さんと同じほど生かされたとしても、後残すところ20年ほど、、、毎日をしっかり自分なりに生きていかないとなあ、、なんて思いました。
小学校の校庭でおざわさんのことを聞いたのが、もう50年以上も前のこと、、
ほんとに人生はあっと言う間だな、、、
今日もしっかりがんばります!
小澤征爾さん。ほんとにありがとうございました! 生きる勇気をあたえていただきました!