もうちょっと前のことになったしまったのだけど、SATRIアンプについて永井さんと話をした記録が未掲載になっていた。これからSATRIを聞いてみようかなという人には参考になるかもしれないので、ちょつと古いけど掲載するね!
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最近オープンしたというお店でおいしいランチをいただきながら、永井さんといろいろ話した。この店のオーナーとはオーディオ道場繋がりで知り合ったということだ。お店には、非常にシンプルなSATRIアンプがあって、これでミニコンポのどうでもいいようなスピーカから豊かな音が出ているので驚く。
西:「今日聞かせてもらった機器はいつごろ製品化された
んですか」
永:「4月にはできあがっていて、発売したのも同じ月で
すね。うちのホームページでもう見られますよ」。
西:「東京のお店もSATRIを扱い始めてたって聞きま
したけど。」
永「ヘッドフォン専用のアンプですね。これってなかなか
動かないんですよね(笑)。」
☆バクーンの海外展開:
西「最近は国内より海外の方で知られるようになったって
いうことなんですけど、これはどんな経緯で?」
永「実はバクーンインターナショナルの社長はね、韓国の若いユーザーさんなんですね。もともとナノテクの会社をやっていたのだけど、SATRIの音にほれ込んで、やめろやめろって言ったんだけど、ついに転職してバクーンプロダクツインターナショナルっていう会社を興しちゃったんです(笑)。」
西「それで、今は韓国はもちろんだけど、どの辺まで進出しちゃったんですか。」
永「豪州、イギリス、スイス、オーストリア、ブラジル、今度アメリカに持って行くってことです。」
西「全く別会社なんですね。」
永「そうなんです。ただし、今のところ最終の調整なんかは、まだ私でないとできないところがあるし、修理は
こちらにばんばん送ってくる(笑)。これから自分たちで調整できるようになると思いますけど。」
西「ヨーロッパをはじめとして、ユーザに評価される要因って何だと思います。」
永「やっぱり彼らは生の音を知っていて、生の音で聞きたいと思ってからでしょうね。」
西「ヨーロッパにだって、世界的に有名なメーカーはたくさんありますね。その中にあってもSATRIの音が評価されている事実っていうのは、どうしてなんだろう。」
永「音の違いは、多分、フィロソフィーの違いだと思います。使っている部品がいい悪いとかはあまり関係ないと思います。今回ヨーロッパにて驚いたのは、予想以上にSATRI回路が世界的に認められているということでした。」
「いつも言うことですが、私はアンプを作るとき、音は聞かない。回路の精度をあげることが最大の目的です。ここは、彼らと考え方のプロセスが違うと言えます。極めて常識的なアプローチだと思います」。
☆SATRIのハイエンドの音:
西「今日はSTRIの現時点でのハイエンドの音を聞いているっていうことで間違いないでしょうか」。
永「そうですね。エベレストに登る人はそこに山があるからっていうでしょう。でも、うちの場合は、やればやるほど頂上が高くなって、また新たな高見を目指して登ってるような感じですね」。
西「再生環境も変わりましたね。例えばハイレゾとか、、」。
永「本当にそうですね。海外に行って面白いなあと思うのは、あちらでは、PC再生がメインですね。その次に
アナログなんです。ショーなんかに行ってもCDプレイヤーを使っているところの方が珍しい」。
西「そうなんだ!アナログねえ。」
「ところで、DSDとかはやらないんですか」。
永「いろいろやってきて192KHZ 24ビットでもう十分なのかなという感じがしています。DSDは、西野さんもご存知の通り、コルグのDSD録音器でレコーディングをやってきたけども、やっぱり192KHZ 24ビットが一番自分としてはしっくりくるように感じます。DSD録音しても、編集する段階では一端PCM化しないと編集できない訳です。そうするとテイティブ再生とは言いけど、まったくネイティブではないということになる(笑)」。
西「そうか。で、最近はトランスポーターというか、ドライブメカは無くなりましたね」。
永「そうですね。今はメモリープレイヤーを使うことにしました。今使っているのはプロトタイプなんですが、
これをもう少し改善して、SDからのファイルをダイレクトに再生しています」。
西「アナログをプッシュされていますが?」
永「デジタルには限界がありますが、アナログは無限の可能性を持っていると考えています。アナログは細密画を見る感じがあります。デジタルには無い解像度の高さがある。無限のアナログ世界を出すのがゴールです」。
西「SATRIの音が本当に飛躍的に良くなったと実感するのですけど」。
永「これには、大震災の影響がからんでいます。地震の後、今まで使っていたパーツの入手ができなくなりました。海外製品はコストが高くて難しい。しようがないから設計を全部やり直して入手可能なチップ部品で制作することにしました。チップ部品にすると無駄な引き回しがない。だからノイズ発生源が少なくなってくる。このことが音質向上に貢献したのだと思います。その中でチップ部品の使用ノウハウが理解できたとということもありますね。回路を小さくするメリットですね」。
西「デジタルアンプ、クラスDアンプはやらないのですか? バクーンのデジタルアンプとか実によさげですが」。
永「本当に日本の電源の問題がひっ迫したら考えなくては
ならないと思います。将来的には、その時がきたら対
応したと思います。でも、しばらくはアナログアンプ
を省エネ化することで対応したいと思います」。
西 「ありがとうございました」。
===バクーンインターナショナルについては、下のスレ
ッドから ====