あたしは、何と言っても映画「男はつらいよ」の大ファンなのであります。
きっかけは80年代のはじめ、南の国で学生をしていた頃、キャンパスでジャパンフェスティバルっていうのが開催されていて、その中で、日本文化を紹介するっていうんで、「男はつらいよ」が数本上映されたのでした。その頃あたしは、この映画には全く興味がなくて、おじさんたちが一杯ひっかけてみるお盆とお正月映画だと思ってましたから。しかし、このとき友達が見に行こうというので、暇つぶしに見に行った。そうしてその時はじめてみた寅さんの映画が、、これでした、、
1976年(昭和51年)公開の「寅次郎夕焼け小焼け」。この映画見ながら、もう泣けて泣けてねえ、、自分が日本人であることと、日本人であってよかったとしみじみ思ったのでした。それ以来、「男はつらいよ」にはまってしまって、大学のレポートで「寅さんは現代日本の神話である」っていうことを「文化人類学的(笑)」視点で書いて、結構いい点をもらったこともありました(大爆笑)。そうして、シリーズ最後の作品までしっかり見ました。
最近はBSで、週末、またこのシリーズを放送してくれているので、録画して、時間があるときに観ています。昨日も、録画していたこれを観た。
十朱幸代さんがマドンナの作品。話の終わりには上条恒彦さん扮する青年が十朱さんのこころ射止め、一方傷心した寅さんは、また旅に出るっていう、いつものお話なんですが、、この中で上条さん扮する青年は、無類の音楽好きで、合唱団の指揮者もしていて、その合唱団のメンバーのひとりが十朱さんだったものだから、寅さんが、この青年にもからんでくるっていうストーリーなんですが、、
寅さんがお酒を持参で、この青年のアパートを訪ねて、酒を飲みながら、青年に恋愛指南をするっていうシーンがありますが、この青年の部屋の内容が実に面白かったのでした。
この青年は相当な音楽好きなので、レコードやらがたくさん置いてあったり、指揮者のポスター壁に貼ってあったりする訳なのです。
で、タンスの上にさりげなく置いてあるのは、メーカーはわからないけれど、当時、若い人が持っていたレシーバー、、、そうして、レシーバーの横においてあるのは、なんとフォステクス(当時はフォスターと言ったのか)の10センチフルレンジを、大きめの手作り箱にいれた自作スピーカー、ワンセットなのでありました。
この作品がつくられたのは、調べてみたら1974年。あたしが、まだ中坊の12歳で、、 友達のおねいさんが、ちょうど二十歳ごろで、上の青年と同じようにレシーバーをもっていて、よくフォークのレコードを聞かせてくれたものでした、、、当時の音楽好きの若いおにいさん・おねえさんは、こんな機械でレコードを聞いてたなあと思い出しました。
(んな感じのレシーバー)
映画の青年の部屋には、ブーレーズやマイルスのポスターとかが貼ってあります、、おお! この頃は彼らはリアルタイムで活躍していたのだなあ、、、
そうして、映画の中の喫茶店のメニュー、、コーヒーが230円とか、、、立ち食いうどん屋さんのうどんが160円とか、、70年代のデザインの車とか、、1974年当時の空気が、この映画には一杯つまっていました、、
あの映画の景色のずっと向こうには、12才のあたしがいたんだなあと思うと、ちょっと不思議な気もちになります。
それにしても、、あれから45年たった今でも、フォステクスの10センチフルレンジスピーカーがあるっていうのは、大したことだなあと思いました。あたしだって昨年の夏、ファステクスの8センチフルレンジ2発のスピーカーキットを作りましたから、、、
しかし、寅さんの映画は、いつも見てもいいですね、、 昭和の空気がいっぱい詰まっていて、、
もうすぐ平成も終わるんですね、、、そうか、今日は建国記念日だった、、