うちの老犬は、昨年暮で１３歳になった。犬の１３歳は、人間でいうともう大変な老人なのだよ、、大事にしないといけないよ、もうすぐ介護が必要なるよなどと、同居人のおばはんは言うが、よぼよぼではあるのだけど、まだまだ自分の足で歩けるし、食欲は旺盛だし、まだまだ元気だよな～犬によびかけるのである（笑）。ちょっと耳もとおくなったけど（笑）。
この犬と＝＝日本にただ一匹現存するオディオ犬と呼んでいるのだけと＝＝あたしは、ずいぶん長い間とドタバタとオディオライフを送ってきたのでした。いつもオディオの入替をしたり、ちょこまかと作業をしたりするときなど、この犬は必ずあたしの側にいたのでした。もちろん手つだわなくて、見てるだけの現場監督なのだけど、ひとりで作業するよりもずっとこころづよかったものでした。
想いかえせば、B&WのでかいSPをいれかえしたときも、JBLのホーンスピーカで四苦八苦したときも、ソナスファベ―ルのアマティとかにうっとりした際も、アンプをあれこれ交換したときも、いつだって、この犬は側で見守ってくれたものでした。
（B&W８０２SDを入れたとき、、、このSPは地震で大破した、、）
もう１３歳だから、そうかあ、あたしのオディオ馬鹿の歴史といつもつきあってくれたのは、ほかならぬこの犬なのでありました。
つい昨日も、家族が買い物に出かけている時間をみはからって、音もだちから借りてきた３００Bシングルのアンプを２階のタンノイスターリングに接続する作業をしたのだけど、この犬は、じっと現場監督をしてくれたのでした（笑）。で、思いのほか、この玉シングルのスターリングの音がよかったのものだから、接続作業を終えたのち、しばし、犬の頭をなでながら、一緒にモーッアルトのピアノ協奏曲を聞いたのでした。うちの犬は、なぜかモーッアルトを聞くと、ぐっすり寝てしまうのであります。だから好きなんだろうと思うのですが、、
モーッアルトの曲はいいなあ、特にゆっくりした楽章が良い、、なんというか、白い雲がゆったりと流れていっては消えて、そうして次にまたあたらしい雲がゆらゆらと流れてくるような感じがして、、なんか、きれいでのんびりしてるんだけど、ちょっとかなしい、、、そういう音楽を聞くとき、うちの犬がいっしょにいると、さらに気持ちが安らぎますねえ、、
この犬は、小さいころから、よく人間と目をあわせて、視線をそらさずしっかりと見つめる珍しい犬だったのだけど、このごろ、さらにあたしの目を前よりもっと真剣に見つめるようになったのです、、あたかも、もうあんまり時間が残ってないことが分かっているだけに、さらにもっと前より
強いまなざしで、あたしを見つめるようになったように感じるのですね、、
まあ、食欲もあるし、まだまだしっかり散歩できるし、、まだまだいっしょにオディオや音楽を楽しめると思うのだけど、、
でも、犬の、前にもまして強いまなざしを見ると、、これから一緒に過ごす時間を、本当に大事にしなくちゃと思うのです、、
毎晩夕食を終えて、あたしが音楽部屋に行こうとすると、犬もすっといつの間にか、あたしの後ろからついてきて、音楽部屋のお気に入りのソファに抱きかかえてあげると、ゆったりと老犬は体をのばして、おおきくあくびして、ふ～っとため息をついて、居眠りをします、、その横であたしは、好きな音楽をいろいろ聴きます。 夕ご飯を食べながら、最近はしょちゅ～のお湯割りなんを2杯もいただいちゃうので、いい気もちで音楽を聞きながら爆睡してしまう（笑）。
そのうち、目が覚めて、ほらねるよ～おふとんいくよ～と犬を抱えて2階の寝室まで一緒にいく、まるでこりゃ老犬と老人の「おっさんずラブ」だと家人は笑うが、ともかく、あたしのこの犬がこころから好きなのであります（笑）。
明日もあさっても、ずっとずっと、あたしのオディオ馬鹿ライフにつきあって、一緒に音楽を聞いてほしいのだけど、
でも、この老犬の日に日につよくなるかなしいまなざしを見ると、、ああ、時間はもうそんなにないんだなあと思いつつ、、これからの一緒の時間がどれだけ貴重なのか痛感する今日このごろなんであります、、