相変わらず、この頃は、帰宅して夕ご飯までの時間、録画しておいたBSで放送された海外クラッシックコンサートをサラウンドヘッドフォンで楽しんでおります。
過日は、ゲバントハウスオケのロシアものを堪能したのだけど、昨日は、ベルナルド・ハインティンクがVPOを昨年のザルツブルグ音楽祭でふったブルックナー。
ハインティンクって、、なんだか特徴のない、自然体といえばそうなのだけど、こうメリハリのない、のっぺりした感じで、録音はたくさんあるみたいだけど、積極的に聞きましょうという感じの指揮者ではなかった。彼の録音で手元にあるのは、ボーンウィリアムスの交響曲全集ぐらいか(LSOとの録音)。
それでも、クラシックおたくの間では、ハインティンクの評価は、このところ極めて高いし、なにしろもう高齢(90才過ぎ)だし、引退も近い(というか昨年で引退したそうだ)ので、どんな感じなのか録画してみることにしたのでした。
先ずは、ベートベンのピアノ協奏曲4番。ピアノはエマニエル・アックス。オケは、ウィーンフィル(VPO)。いやあ、しかしアックス、昔、ヨーヨーマと一緒にやっていたけれど、いやあ歳とりましたねえ。もちろんあたしも、それだけふけたっていうことなんだけども、、
さて、演奏は、、すばらしかった、、なんというか、ベートーベンのこの曲は、あたしは、内田光子さんのエネルギッシュな演奏で聞いていたのだけど、ハインティンクとアックスの演奏は美しい水墨画を見ているような、神々しいというか、形而上的な美しさというか、、ああ、なるほどハインティンクの最近の評価は、こういう音楽をつくっているためのものなのかと納得がいきました。こういう、透き通ったベートベンって初めてきいたなあ、、もちろん聴衆は大拍手、、アックスは、ショパンの小品をアンコールで弾きました。アックスのピアノも実にきれい、、こんなにいいピアニストだったのだと再認識、、
そして、ブルックナーの7番、、、あたしは、一時期、ブルックナーばかり聞いていたことがあって、いや、もっと正確に言えば、ブルックナーの交響曲をオーディオでいかによく鳴らすかに専心したことがあるのでした。ブルックナーのフォルテシモが、いかに混濁せず、美しく豊かになるか、、調整したり、機器を入れ替えたり、今思えば、とてもおもしろい時期だったなあ、、
当時のリファレンス盤は、カラヤンVPOの盤。ご存じカラヤン最後の録音でした、、
さて、ハインティンクの演奏、、はじめは、高齢のせいか、やっぱりおとなしいなあと感じたのだけど、オケがVPOだけに、実に美し部分もあって、、音楽進んでいくと、音楽はさらに美しく高まっていって、、最終楽章は、まあなんと美しい、、そうしてエネルギーがどんどん充溢してきて、これが90才の人の演奏かと疑ってしまうほどの高揚感! まあ、このときのマエストロにお姿は、まるで菩薩様、、
う~む。これは、すばらしいブルックナー、、まったく作為がなくて自然なのだけど、、神々しいという他ないようなブルックナー、、
最後の音が消えて、、数秒、会場は沈黙、、徐々に拍手がはじまり、最後は大歓声! そして拍手と歓声がとまらない、、杖をつきながら、若いアシスタントにサポートしてもらいながら、何回も観客の声に応えます、、
その時のマエストロの、ほっとしたような、演奏が無事終わってよかったなあという表情。なんともマエストロの「人の好さ」が伝わってきます。もう引退目前の演奏になることが分かっていたので、マエストロは、少しかなしそうな顔になって、すこしだけ涙が出そうになってしまう、、長い長い音楽生活が、これで終わるのだなあといううれしいけどかなしいなあという実に複雑な表情を見せたのでした、、
この放送の前に、マエストロとのインタビューを中心としたドキュメンタリーが流されたのだけど、、見ていて、ハインティンクの人の好さ・なんていい人なんだろうというのが伝わってきました。自分は、ネガティブな面ばかりを見てしまう。音楽もそうだ、、だけど、ここまでやってこれたのは、回りの人のおかげだと、50年以上もヨーロッパの楽団の頂点にたってきた人とはとても思えない、、謙虚さ素朴さ、、そういう人間性から出てくる音楽が「悪い」はずはないのだと思いました。
この演奏を聞いたので、実家においてあるハインティンクのボーンウィリアムス交響曲全集をもってきて、じっくりマエストロの音楽を聞いていこうと思っております、、
それにしても、BSプレミアムシアターをエアチェックしておいて、サラウンドヘッドフォンで観る・聞くっていうのは、あたしにとっては、あたらしいオディオ・音楽の楽しみ方になりました。
偶然にも、インフラノイズ社のHPを見ていたら、同社A社長も、最近ネットの動画ストリーミングにはまっていて、自作のヘッドフォンシステムで音楽と画像を堪能しているとのこと、、なんか同じようなことをしてるなあと思いました、、もちろんA社長のヘッドフォンシステムは、ものすごく音が良いらしいけれど(笑)、、