あたしがシベリウススピーカーを入れて、よがってるものだから、あたしの音もだちの何人かが非常に興味を持ってくれております。
で、その中のおひとりが、最近使っていないけれど、貴君のシベリウススピーカと構造が似ているものを昔入れていたので、一度使ってみてはと打診があったのでした。そのスピーカーが、PCM社のFB-1。
PCM社は、プロ用のSPを制作していることで有名。今でもステレオサウンドとかで広告しているイギリスの老舗であります。
で、FB-1? 調べてみると20年ほど前に同社がコンシューマ向けに作ったスピーカーみたいです。
で、シベリウスと何が似ているの?
と、この音もだちに聞くと、、
シベリウスは、TQWT共鳴管エンクロジャーにフルレンジユニットを取りつけた構成。一方、FBー1もPCM社が昔から採用しているATLという構造でエンクロージャーを作っていて、非常に厚味のある中低音を出してくる。
ふたつは、構造的に似ている様だ。果たして出てくる音の感じも類似しているかどうか、聞いて検証みてほしい。
とのことでありました。
そういうことならと、運んできてもらって、全く期待せずに写真のようにシベリウスの内側に設置してみました。
それまで置いていたロジャースのLS3/5Aをどけて、FB1を置きます。1台20キロ程度だからひとりでうごかせる重さ。
アンプはアキュフェースのE-213(インフラノイズVR-7を装着)、CDPはマランツSA-14Sというシンプルなラインアップで鳴らしてみます。
ケーブルもインフラノイズ製。FB-1はバイワイヤなので、スナーケーブルで作ったジャンパーケーブルを使います。
繰り返しになるけれど、全く期待せず(ちょっと鳴らしたらすぐ返そうと思って)鳴らしてみましたが、出てきた音にびっくり!
音の出方==特に低音の出方がシベリウスと似ています。分厚い低音が実に自然にスムーズに出てきます。中音もあつく、ツィター込みの2WAYなので、高域も自然に伸びています。
な、なんじゃこら~とかややおののきながら、耳タコCDを聞いていきますが、、
いや、この音には、説得力があるというか、引き付けるものがあるというか、、
音全体の様子が、ジャズ、クラッシックとも実にナチュラルでスムーズ、、演奏者の
細かいニュアンスがよく伝わってきます。
音楽性が高いと言えば良いのか、、いやこれ、大したスピーカーです。
音のスムーズさ、低中音の厚味とか、細かいところは、シベリウスの方がまさっていますが、FB-1でも音楽が十分に楽しめます。
いや、これはいいスピーカーです。
FB-1は前底部にポートが空いていて、内部のダクトとつながっている===トランスミッションラインというPMC社が独自に開発したエンクロジャー構成とのことです。シベリウスよりややスピードが速いという感じがします。シベリウスはもう少し厚い低音が、ゆったり深くしずみます。しかし、FB-1のスペックを見ると25HZ~25KHZだから、シベリウスより伸びています、、
しっかりセッティングすれば、シベリウスに拮抗するぐらいの音に持っていけるのかもしれません。
あんまり良いので、少し汚れていたエンクロージャーをきれいに拭いてあげて、ユニット取付用のスクリュードライバが緩んでいたので、六角レンチで締めました。すると、音のフォーカスが、びしっとあって解像度があがったようです。
FB-1はツィターを持った2WAYなので、完全にフルレンジのシベリウスよりも克明に高域を出してくるようです。だからといってシベリウスの高域が不足するとういうことはありませんが、やはり物理的にツィターがある方が、はっきりした高域が出るようですね。しかし、シベリウスの持つここちよい肌触り感というのでしょうか。それはFB-1にはないようです。ユニットの違いかもしれません。
ふたつのスピーカがエンクロジャーの内部構造を工夫することで、より自然な中低域を出すということが共通する特徴のようです。
シベリウスはアキュフェーズE-800、FB-1は、同じくアキュフェーズE-213でドライブしているのでアンプの音の違いもあると思います。
さて、シベリウスを鳴らすため音もだちからお借りしていた玉アンプ(300Bシングル VT62シングル)。
E-800と比較しながら聞きこみました。その結果、玉アンプは全てお返しすることにしました。E-800には、玉アンプの魔法のような美しさはありませんが、玉アンプに一歩も譲らない自然なハーモニーの美しさ。玉アンプにはない静けさ(高SN)、強力な電源があるための低中域の厚さ。そして機械として安定性と信頼性。総合的に見てシベリウスのパートナーとしてはE-800。
シベリウスとE-800のコンビで鳴らすと、大変に自然でスムーズ、、まるで生演奏を聴いてるような錯覚させ覚えます。
しかし、これから夏になり気温があがると、A級だけに、アンプが暑くなり、部屋ももわ~っとしてきます。夏の間は、マランツのPM-10に切り替える予定ですが、先にこのアンプで鳴らしたとき、シベリウスとの相性がそれほど良くなく、E-800で醸成されていた濡れた感じが、PM-10では出ず、音全体がドライに感じられたのでした。もう少し鳴らしこまないと断定できませんが、、、
一方、FB-1をドライブしているE-213はAB級で長時間使用してもほとんど発熱しません。それは良いのですが、E-800のような肌触りのよいウエットな音の調子はなく、やや硬く、線的な感じの音の様子になります。もちろん、ジャズなど聞くときは、その程度の音のしまり方は好ましいのですが、クラッシックをかける場合は、FB-1の音がソースによっては、やや神経質に聞こえる場合があります。
FBー1は感度が90DBと高いので、小出力ですがSNの高いSATRIアンプで鳴らしてみるのも悪くないと思います。今度試してみます。
ちょっとエッジのたった音は、スナーケーブルのジャンパー線の影響があるのかもしれません。バイワイヤ接続にすると音の様子は変わるかもしれません。
いずれにせよ、FB-1は基本的に大変気に入った音でなります。大変良いスピーカーです。
シベリウスとFBー1、どちらもイギリス製ですね(笑)。
出てくる音の傾向は似ていますが、細かい部分は違います。
でも、シベリウスに近い音で聞きたいけれど、輸入するのは大変だなあと思われる向きには、FB-1は大変お勧めだと思います。しかも、中古のお値段も結構こなれているみたいですから、、
あたし的には、あくまであたし的にはですが、B&W805D3よりも好みの音です。
平日の夜はFB-1で、週末はシベリウスの肌さわりのよい音でじっくり音楽を聞くというスタイルは悪くないなあと思います。
さらに聞いていきます、、