ひっさしぶりにコンサートに行きました。
それはこれ:
サロネンとフィルハーモニアオーケストラ。ソロイストに諏訪内晶子さん。
どちらもあたしとしては初めて聞くオケと、ソロイストでした。
POは、この間もカラヤンと入れた大昔のシベリウス5番をLPで聞いていたりしていたり、その他にもジュリーニと入れたロッシーニのスタバ―トマーテルその他いろいろあったりしたけれど、直接聞いたことは、、
いやいやいや、あったあったよ! 30年以上も前、仙台でPOを聞いたのだった、、あの時の指揮・ソリストはアシュケナージだった。そうだった、だから30数年ぶりのPOだった訳ですね(笑)。
サロネンは名前は良く聞いていたけれども、盤で聞いたのはメシアンとかほんの少し、、どういう音楽を作る人かも知らなかったけれど、ユニークな音楽評で有名な許光俊さんが、非常に高く評価しているから、いつか聞いてみたいとは思っていたのでした。
という訳で、昨晩19時、、再建なった熊本県立芸術劇場コンサートホールで演奏は始まった。
先ずはベートベンの「命名祝日」というはじめて聞く短い曲。この曲を聞いて、POが並のオケではないことがわかりました。なんというか、完璧なアンザンブルと楽器間の音のバランス。指揮へのリスポンスの速さ、、こりは、すばらしいオケと、そして指揮じゃないか!
とか思っていたら、あっというまにこの曲は終わり、、そうしていよいよ諏訪内さんが登場、、
あたしは諏訪内さんがチャイコフスキーコンクールで1等を取ったときのイメージしか頭になかったから、ステージにたった諏訪内さんを見てちょっとびっくり、なんとまあ美しいレディーでありましょうか、、調べてたらもう40代半ばなんだ、、チャイコのときはまだ十代だったからなあ、、
で、メンデルスゾーンのコンチェルトがはじまったのだけど、
あ~もうね、第一音が出たとき、あたしは、あまりの音の美しさに驚きました!
なんというか艶というか透明感というか、、水晶玉の輝きがホール全体にひろがりましたね、、
うああ、、あたしってば55年生きてきて、何回から生のバイオリンの音を聞いたけれど、こ~んなにうつくしい、、生きている音を聞いたことがなかった、、
んでもって、このコンチェルトはもちろん知ってて、何回も聞いたことはあったけれど、、まあちょっと軽い系だよねえとたかをくくっていたのだけど、諏訪内さんとサロネンさんの演奏は、、もうただごとではなかった、、
諏訪内さんのバイオリンは、その美音(美声)で、高く低く、深く、軽く、歌います。
そう、全編歌なのですね、、その歌がうねって、オケがいっしょにうねって、もうなんというかオケとバイオリンが一緒に呼吸して、ぐ~っとバイオリンが歌いあげ、オケが絶妙にあわせるところなんざ、あ~これってオペラだわ~と思ってしまった、、
そうして最終楽章は、オケもバイオリンも高揚して、歌いあげて、本当にしあわせのうちに終わる、、も~よかった、、よかったと感じたのはあたしだけぢゃなくて、満席の聴衆も一緒だったみたいで、、もう拍手が鳴りやまない、、
で、諏訪内さんがアンコール、、これがたぶんバッハの無伴奏なんとか、、(詳しく分からずにすいません)、、、これがまた、よかった、よかった、さざめくような音から通奏低音にのって、だんだんと音が凝縮されて、澄み切った声が天にのぼっていくような、、いやこれは、、すばらしい、あんまりのよさに涙がでそ~になったぢゃないか、、
調べてみたら、諏訪内さんが使っている楽器は、もちろんストラディバリウスでドルフィンっていう名前がついてるらしい、、もう、上に書いたようなすばらしい美声でした、、
そうして、最後はベートベンの7番。あたしってば、この曲そんなにすきぢゃなかった、、なんか、、こう、繰り返しが多くって、、そりゃのだめちゃんドラマで千秋君が最終回にこの曲を演奏して大成功するんだけど、、でも、やっぱり他の3番とか6番とか8番とか、1、2番とかが7番よりは好きだったんなあ、、、
だから、またあんまり期待しないで椅子にふんぞり返ってた訳ですよ、、
で、サロネンさんが最初の音をさっと振ります、、
おどろいたねその音に! バランスがまったく崩れないフォルテ! 全楽器の音が聞こえるのだけど、エネルギー十分!
で、ずんずん演奏が進んでいくのだけど、いや、すごい。弦もいいけれど、特に木管とか金管がうまい! もともとイギリス人でこういう楽器が得意っていうけれど、それはたぶん間違いではないです、、ともかくうまい、、
ホールの影響か弦の音がちょっとひっこむような感じがあるけれど、これもうまい。特筆したいのは、ベース。もうこんなにはっきりベースの音が聞き取れた演奏は今回がはじめて、、なにしろともかくアンザンブルとバランスがすばらしい!
サロネンさんすごい統率力!
で、完璧なアンザンブルとバランスと、早めのテンポで、もうリズムというか音楽の縦と横の構造が、実にかちっと出てくる、、、聞いているうち、あれれ、もしかしたら、これってストラビンスキーの春の祭典とかつながってるのかもと思いました。
サロネンさんって、自身も現代音楽の作曲家でもあるんだけど、たしかストラビンスキーの指揮でとても評価が高かったのではなかったか、、この人の中ではストラビンスキーとベートベンっていうのはとても近いのではないかなんて思ったりした、、
ということで、2楽章の音楽の横の流れの美しさ、、弦と木管のからみのいや、うまいことうまいこと、、
そうして3楽章から最終楽章へ続く、、
曲が終わりに近づくにつれ、オケが高揚していって、もうすごいスウィング!
音楽がうねりながら、スウィングしながら、さらに盛り上がって、どんどんスウィングしながら高揚して、そして爆発して、、、
おお、これってジャズ!く~ったたまらん、イェイ!とこころで叫んだとき、フィナーレ!
いや、すんばらしい! すんばらしい! こんなベートベン聞いたことがない!
音楽の生命力というかパワーというか、一方美しさというか、、なんというか音楽のもってるすごいところを、もうこれでもか~っていうぐらい出してくれました。
すごいよサロネンさん! POのみなさん!
みんながベートベンに期待する、深い精神性とか哲学性とか、そんなものちょっと置いておいて、ともかく音楽のすごさをど~んと聞かせてくれました(プロモーションの動画で7番について本人が語っているのだけど、そんな感じのことを言ってました)。
オケも、チェリのミュンヘンフィルはあたし的にはやっぱり今でも最高で、今回のPOもミュンヘンフィルにかなうことはなかったのだけど、、(何事も美化された記憶にはかなわん(笑))、、POは本当にすごい! すごくうまい!
いや~しかし ま~ 熊本でこれだけの生演奏を経験したのは初めてでした、、
今回の演奏は地震からの復興という意味も込めて、POがわざわざ来てくれたみたいんなんですね。県知事のあいさつなんかもあったりして、、いろんな人がからんで実現したようなのだけど、、
いや~しかし、諏訪内さんもサロネンさんも実によかった、、あたしは感動した、、
ということで、今日は今朝からサロネンさんの録音はどういうのがあるか、探しておりました(笑)。
しかし、、諏訪内さんのあのバイオリンの音は、オディオでは出せないだろうなあ(笑)。そ~言えば、うちのプリはイギリス製でしたね、、あれも、実によく盤を鳴らす、、
いやあ、いいコンサートだった! 大拍手!!