昨晩放送のマエストロ村井の「これだ! オーディオ術」を聞いた。
前回に続きピアニストの稲岡千架さんをゲストに、彼女の弾いたモーッアルトのピアノソナタをCD音源とハイレゾ音源で比較しながら聞いていきます。曲間には、マエストロと稲岡さんが、ピアノの調律の方法やハイレゾの音、稲岡さんのピアノストーリーについて語っていきます。
稲岡さんは、ベヒシュタイン制のピアノを弾いていられる。
それに加えて、ピアノ調律法を通常の「平均律」ではなくて、「不分律」方式でチューニングされて演奏されているようなのである。今のピアノはふつ~に「平均律」でチューニングされるのだけど、19世紀ぐらいまでは、いわゆる「古典律=不分律」で調律されていたらしいのですね。
不分律でチューニングすると、響が豊かになったり、転調したときの感じがもっとビビッドになると稲岡さんが説明してくれました。たしかに、ハイレゾでかかった稲岡さんが弾くモーッアルトのピアノの響は、ふつうのピアノのより響が深いというか、伸びるというか、そんな感じがします、、
自身の録音をハイレゾで聞いて(マエストロによると、聞き入っていたとのことだが)、自分の音楽を裸にされて見られているみたいとの感想。そうして、あたしと同じように空気感が増すとの印象を稲岡さんが語られていた、、
昨晩かかった曲は:
出演:村井裕弥 ※OMFレーベル特集 Part2 | - | |
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第7番ハ長調K309(Fo) | 稲岡千架(P) | OMFKCD-2057 |
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第7番ハ長調K309(192KHz24bit) | 稲岡千架(P) | OMF |
モーツァルト:ロンド イ短調K511(Fo) | 稲岡千架(P) | OMFKCD-2057 |
モーツァルト:ロンド イ短調K511(192KHz24bit) | 稲岡千架(P) | OMF
|
昨晩、この回をWAVでエアチェックしておいたので、後で、タンノイで響の違いをもっと細かく検証しようと思っております(今はヘッドフォンで聞いている)。
で、ちょっと不分律について、わからなかったのが、このチューニング方法を取ると、打鍵のポジションが変わるのだろうかということ==つまり、平均律だとドのポジションが不分律だと、例えばミのポジションにあがるのかということだった。
というのは、ギターでも通常のチューニングを変えて、響の質をうんと変えることができるんだけど、そうすると、いつものポジションを押さえても、まったく違う音が出るということになるし、コードフォームも変わってしまう、、これ、結構大変なんです。
ん~ピアノだとどうなるんだろう、、
ただ、いろいろ調べてみると、どうやらキーのポジションは一緒なんだけど、全体的な響とか雰囲気とか、、表情が変わるということみたいです。
で、さらに不分律=古典律について調べていくと、「古典律にすると、ピアノの箱なりが、もっと豊かになる」という説明も発見した。で、その時、思ったのは、あ~これタンノイのスピーカーと同じではないか!?ということだった。
先にも書いたけれど、タンノイのSPはモニター系の音ではなくて、自身の響の中で音楽を鳴らすというタイプ、、上の調律方法に例えるならば、モニター系のSPは「平均律」、タンノイとかハーベスとか箱鳴りも積極的にキャラクタとして取り入れるSPは「古典律」といってもいいのかもしれないですね。いや、実に面白いです。
日本の音大で、モーッアルトを弾いたとき、教授から「君のモーッアルトはつまらない」とか言われて、しばらく弾いてなかったけれど、ドイツのマンハイムの大学に入学して、久しぶりに弾いたら、ドイツの教授から「君の響はモーッアルトにあっている」と言われたというエピソードを稲岡さんが語ります。それがきっかけで現在に至るっていうことでした、、、
稲岡さんは即興性が好きということで、モーッアルトの限られた音楽の中に、ありったけの自分のファンタジーとかを盛り込んだとのこと。もう、稲岡さんのモーッアルトがハイレゾで聞ければ、他のピアニストのモーッアルトソナタは聞かないかれもしれないと、この演奏に金縛りになりました、、とマエストロ、、
今回のCD/ハイレゾが稲岡さんにとって初めてのリリース(?)ということでしたが、いや、なかなかすばらしい内容でした。
とても興味深く聞きました。