先の記事に書いたとおり、ラックや機器の整備をして、実にあたし好みの音になったって書いたけれど、この中のミュージックバードのチューナーも入っていたのでした。
んでもって、昨日もあれやこれや聞いて音楽三昧(オディオ三昧ぢゃないですね)してたのだけど、いよいよ午後9時なって、今年初のオディオチャンネル聞いてみましょと124CHにすると、おお! Mバード名物番組「オーディオ歴史館」がはじまったぢゃないか!
今年も牧野館長と生島主席学芸員はがんばっている! 新年はじめの特集は「ナカミチドラゴンを聞く!「」でありました:
1月2日/ドラゴン対A&D
カセットデッキの最高峰、ナカミチ「ドラゴン」は1983年に定価26万円で発売された。オートリバース機でありながら「世界最高」と称えられた再生音は、千差万別の音楽信号の中から基準信号を見付けてテープとヘッドの相対位置「アジマス」を自動で最適化する技術、NAACによってもたらされた。フルメンテナンスのドラゴンと、ヘッド寿命の長さで定評のあるGXヘッド搭載のA&Dオートリバース普及機、CD時代に入った87年に発売されたGX-R65CXを聴き比べる。こちらは7,9800円。さて、音の違いは?
生島さんが念願のドラゴンを入手、その後もひたすら調整されていたのだが、いよいよリスナーのみなさんにお聞きいただくレベルになったということで、今回、新年初ということもあり、牧野さん所有のA&Dのデッキの鳴き合わせと相成った。
生島さんによると、ドラゴンは専用のヘッドを搭載していて、このヘッドがダメになると、もう修理不可となるのだといういうこと、一方 A&Gのヘッドは実に耐久性が高く、今でも使えるものが多いとのこと。
実はあたしも、20数年前、ドラゴンを新品で購入し、NHKでクラッシック番組をエアチェックしては、あまりの音質の良さに驚嘆したひとりであります。しかし、2年ほどでマッキンのアンプを入れるため手放したのであります(涙)。
で、あたしとしても、今回の生島さん愛用のドラゴンの音を放送できいて、その音のすごさにあらためて驚嘆しました。かかった曲は下の通り:
出演:牧野茂雄、生島昇 ※ドラゴン対A&D | - | |
瞑想 | 尾崎亜美 | TFMエア・チェックNo Number |
待ちくたびれてヨコハマ | 柏原芳恵 | 日本フォノグラム28LT-98 |
Prelude To A Kiss | Dado Moroni | DireFO363MC |
For Duke And Cannon | Nat Addery Quintet feat.Sonny Fortune | TheresaTR122C |
先ずは生島さんが、中学生のときにエアチェックしたものですと、なつかしいTDKのADカセットをドラゴンで再生、、 あたしはこの録音を聞いておどろいたね、、なんとまあ新鮮で、生々しくて、しかものびやかな音なんだろう、まるでつい先日録音しましたみたいな音なんです! とても79年の録音とは思えないですね。まったく、、
で、次は牧野さんが大ファンという柏原芳恵さんのミュージックカセットをA&Gでかける。
ん~悪くないんだけど、、、ドラゴンに比べると音が平面的というか、べったりというか、、それにドラゴンでは出てた響というか、立体感ていうのがないんで、ドラゴンを聞かなきゃそれなりに評価できたのだけど、ドラゴンの後では、あまりにもかなしい、、
牧野さんの説明で、あたしも思い出したよ、、ドラゴンはNAACっていう独自のアジマス調整機能をもっていて、こいつはテープの音をモニターしながら、アジマスをベストポジションにもっていくっていうすごい機能を搭載していたのでした。なっつかしいな、キュ~んとかいって、調整してくれてたなあ。
次の2曲も、ドラゴンでかけてくれたのだけど、、いやいや、これ今聞いても、まったくすばらしい音です(笑)。倍音の響とか立体感、これはもうカセットでは最高の音ではないでしょうか?
生島さんが、
「カセットっていうのは、もともとがテープなんでゆるゆるなんです。だからオディオとしての許容範囲が広い。だから今でも音楽たのしく聞ける。今のハイレゾっていうか、デジタル音源というのは、一定の人の利益があつまるような戦略があって進められているような気がする」
と言う、、
牧野さんが、
「ドラゴンで聞いてみると、カセットに録音された音がすべて再生されていた訳ではないということがわかりました。今の技術でカセットデッキを作ったら、まだいいものができるんじゃないか。デジタルとかハイレゾでなくて、アナログをもっと極める余地があったのでは」
と指摘、、
それにしても、ドラゴンの音の良さはまさに驚異的! 発売から10数年にわたりモデルチェンジなしでカセットデッキのトップとして君臨した訳が、この放送であたしもはっきり分かった、、すばらしい機械だったんだ、、
最後おふたりから、、ヤフオクなんで、ドラゴンで出品されて通電しましたなんてだけでオーダーしてはいけない。上のようにドラゴンは専用部品を使用しているので、ここがダメだったら入手してもどうにもできない==との注意がありました。
これだけすごい音の機器が、カセットという録音媒体があってこそのものであっただけに、媒体そのものが使われなくなくなっていたときに、悲しいかな、、衰退するしかなかったというのは、なんといういうか実にかなしいことだったのだと思います、、
ナカミチもCDとかその他の媒体をうまく取り入れることができなかった、、それはたぶん、牧野さんも言われていたように、カセットはハードもアナログを極めることで、その高見に達することができたのだけど、デジタルは大資本でなければ、デバイスや回路やその他もろもろの調達や整備も難しかったことでしょう。そうなるとやはりソニー、デンオン、フィリップスなど大資本が主流になり、ナカミチのような小規模社では、アナログ時代ナカミチの合言葉であった「知恵を出して良くしていく」ってことがデジタル時代には、物理的に不可能になって、そのためにデジタルではナカミチらしさの追求に限界があったのではないか、、
そんなことを考えると、生島さんが言っていた、デジタルは一定エリアが利益を得るような構造になっているのではないか==っていう分析もあたっているのではないかなあと考えました、、
牧野さんも、アナログやカセットは、多くの人の努力や知恵が結びついて良くなっていって、これだけのものになった。そのために、今でも使えるし、復興してきている。しかし、デジタルにはこのようなことは望めないのではないか、、とコメント、、
という訳で、今年もおふたりでいろいろとやってくれそうな予感を残して、本日の放送は終了。
お二人はデジタル悲観論なんだけど、一方、マエストロ村井はハイレゾの良さを紹介されている。
昨年、マエストロの番組で、演奏者をゲストに、彼らが演奏したハイレゾ録音の音源を実際聞いてもらって、その音の良さを実感してもらうという番組もあった。あたしも、いつくかハイレゾの音源を聞いて、いいなあと感じるものもあった(アントネッロとかね)。
いつか、お二人にマエストロが現在最高のハイレゾ録音を聞かせて、その良否をディスカッションするなんていう企画があればおもしろいなあと思いました。新年はそんなクロスプログラムセッションなんかやってくれたら面白そうだなあ、、
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ところで、年末、寺島靖国さんの番組「ジャズ喫茶 MUSIC BIRD」を聞いていたら、とんでもないことが起こってびっくり!
ゲストの方と寺島さんのトークの最中にディレクターの太田さんが、あろうことか倒れてしまったのである、、その一部始終が放送で流されて、
寺島さんが、
おいおい、ど~したのだいじょうぶかい、、あれ、これはやばい、、床に寝かせて、
救急車よんで、ねえ、救急車!
ゲストの方も、
あらら、だいじょうぶ、、これはいかんね
などと、あたふた、、
こちら側で聞いてるあたしも、太田さんは面識こそないが、故安原さんの時代からよく知っている方だから、心配したのだけど、、
次の瞬間には、、太田さん自身が、いや~ご心配かけました、もう大丈夫なんですと語られた。太田さんが回復して、もういちど、日をあらためて録音された冒頭で、太田さんが登場したという訳なので、ひとあんしんではあったのだけど、、前の録音と次の録音を切れ目なく編集したということなのでしょうね(笑)。
いや、しかし、まさにドキュメンタリーというか、ふつ~だったら、再録音のものをはじめから流すだろうと思うだけど、いやこれがまさに寺島さんの真骨頂だと思う(思う)。だって、上の一件を入れた方が面白いもの(笑)。
いや、しかし、本当にびっくりしました(笑)。何事もなくて、本当によかったです。