6日いよいよ、われらが生島店長の新番組がはじまった! くしくもマエストロ村井の逝去直後ということもあり、マエストロからのバトンタッチとも言え、いろいろな思いが交錯する中での新番組。あたしは、当日夜8時から放送をリアルタイムで聞いて、もちろんエアチェックしておいたから、週末には部屋のおそうじなんかしながらまた聞いた。
番組の趣旨は:
再発盤や復刻盤に比べて音が良く、コレクターの間でも人気の高い、オリジナル盤(発売当初にプレスされた盤)のレコードに焦点を当てる番組がスタート。パーソナリティは、世界最大級のジャズ専門館『diskunion JazzTOKYO』の店長・生島昇氏が務めます。 「オーディオの主役といえばスピーカーやアンプ、プレーヤーシステム等の機材にまずスポットが当たることが多い。この番組では、機材ではなく音源であるレコードを主役に抜擢して、プレスの違いや様々な鳴らし方のテクニックによる違いを実験。時にはレコード盤による違いが機材の違いよりもはるかに支配力があり、オーディオの楽しみを深く豊かにしてくれることをリスナーの皆様と一緒に体験できたらと思っています。」(生島)
ということですが、記念すべき第1回は、ジャズファンならだれでも知ってて誰でもCDでもアナログでも盤を持ってる「ワルツフォーデビー」を取り上げます。これってばあたしでさえ、CDとアナログもってますもんね(笑)。
10月6日/BILL EVANS TRIO / Waltz For Debby
記念すべき第1回はアコースティック・リバイブの石黒謙社長をゲストにお迎えし、ジャズピアノの歴史的名盤「ワルツ・フォー・デビー」を鳴らします。モノラルのオリジナル盤2種(青ラベル/白プロモラベル)の比較、ステレオのオリジナル盤と高品位復刻盤の比較、さらにはこの盤に特有の「音揺れ」現象の謎についても検証します。そして、イコライザー・カーブ(RIAA/AES/NAB)の検証、さらにMCトランスの厳密なインピーダンス・マッチングに拘ったARAIラボの超弩級トランスの試聴も行います。 [再放送=13日]
ゲストにアコーステックリバイブの石黒社長。実はあたしもスピーカーボードはアコリバの水晶粒のはいってるやつとかシューマン電波のでるやつとか、電源タップとかけっこういろいろアコリバ製品使っています。店長によると、実は石黒さんは超アナログコレクターということで、オリジナル盤にはじつにうるさい方らしい(笑)。ということでのゲスト登場。
ワルツフォーデビー(ワ盤)については、店長によるとオリジナルの録音は2トラックのステレオ録音なのだけど、これがアナログ盤になると、モノラル、ステレオでオリジナル盤があるとのこと。で、ここで気を付けないといけないのは、オリジナル盤になると盤をカッティングするときのイコライジングカーブがRIAAで統一されておらず、別方式で実行されている可能性があるとのことなのです。
ここでおもい出すのは、ちょっと前に放送された炭山さんとみじんこ荒川さんの「オーディオ実験工房」。こちらでもアナログ盤のイコライジングカーブが取り上げられて、その際、使われたのが「17種類のEQカーブに対応したフォノ入力付機能付DAコンバータ―JOPLIN MK2」でしたが、今回店長が使用されたのもこれ。
50年代の後半、アナログ盤のフォノカーブを全世界的にRIAAに統一することになったのだけど、んなことかんけ~な~よと昔かたぎのカッティングエンジニアたちが、おらあ~今までのカーブが一番なんだよ~、ケッ!とかいってRIAA統一令とか無視して、AESとかDECCAとかコロンビアとか称されるそれぞれのカーブでカッティングしつづけたというのが真相らしい。
もちろん国内盤はすべてRIAAカーブでカッティングされているから、オリジナル盤についてのみこういうことがあるとのことだったが、、
で、ワ盤、モノラル・ステレオのオリジナルを先ずRIAAカーブで聞いてみますと、、まあ、あたしら知ってるあの音ですわ、、ちょっともわっとした、紫煙と食器のカチャカチャの向こうで無関係に演奏やってますみたいな感じのあの音、、
「実はオリジナル盤は、海外では、AESカーブで聞くってのが一番言われていて、どう聞いてもRIAAではないようです。でも、私的にはNABという、オリジナルマスターテープの音をそっくり出してくるカーブがベストだと思うのですよ」
と店長が見解をのべると、わたしもそう感じるのですと石黒さんが同意。
でもって、JOPLINのをNABカーブに設定して聞いてみると、なるほど音が実に鮮烈にうかびあがって、ライブ感満載になりますね、、RIAAのもわっとした感じが、すっかり払しょくされました。
ようしイコラインジングカーブはNABに決まった後は、音のゆらぎ問題、、盤によっては音がゆらいで聞こえるものがあるとのことで、実はCDではこのゆらぎがまったくない盤もあって、、ということならばマスターテープにはゆらぎはないと言えるので、カッティングのときになんらかの原因が発生したのではないかと、お二人が推理。 ん~こうなるともうシャーロックホームズばりの推理になってきますね~おもしろい、、で、ゆらぎなしのCDを聞きます。で、このCDの音が秀逸でした! これもなかなか手に入らないのですと店長。
で、もって、実はこの揺らぎのはいってないアナログ盤もあるのですよ紹介してくれたのだけど、えっと名前を忘れたぞっ、アナログアコーステック社だったか?
さてには、実はオリジナル盤にはもうひとつあってと、生島店長が取り出したのが録音テストにつかったラッカー盤(?)。
これを聞いてみます、、ああ、こちらの方が音が良い、生々しいし、、レンジも広い感じ、、
「実は、これはカッティングのテスト盤なんです。録音限界ギリギリでやってるから、商品盤よりも音がいいんです。こ~いうのがたまに出てくるからおそろしい。」
と店長が説明してくれる、、
は~、オリジナル盤っていうのは、奥が深いというか、、はまると底なし穴だなあと、あたしは戦慄を感じました(笑)。
では、次はオリジナル盤の再生に移ります。 今回使用されたカートリッジはオルトフォンのSPU(だったか)、インピーダンスが1、2オーム。ほとんどのアンプで、きっちりカートリッジのインピーダンスに設定することができない(うちのEAR912だってそうです)、、だけども本当にベストの音で再生するためには、トランスとカートリッジのインピーダンスを合致させるとことが必要と、石黒さんが力説。
ということで、石黒さん愛用のARAIラボ特注の1.2オームのみ対応トランスで、聞いてみます。
どうか? ああ、もう鮮度が違うわ、リアルだわ 何もかも違うわ、、これがオディオだわ、、このトランス1個、やっぱり相当高額なものだそうです、、やっぱりなあ、、オディオは(特にアナログ)はお金がかかるなあ(笑)。
ということで、第1回でまなんだことは、以下のこと
①オリジナル盤といっても、有名盤になると、ひとつだけではなくて何種類もあるので注意して、自分のこのみの盤を見つけること
②50~70年代のアナログ盤はフォノカーブがRIAAでない場合もあるので、べストの音で再生したい場合は、いつくかのカーブ設定ができるフォノイコで聞いてみると良い。というか、楽しめる(笑)。
③その上で、さらにベストを目指すならばカートリッジのインピーダンスにジャストマッチしたトランスを使うと最高の再生が期待できる。
ということで、オリジナル盤というのは、実に奥がふかいのですねえ、、そのことをこの放送であらためて理解しました。ジャズだけじゃなくてクラッシックでもおんなじようなことが言えるのでしょうね。で、上のJOPLINみたく各種のEQカーブに対応するフォノイコが登場したことによってオリジナル盤を聞く楽しみがど~ん増したというのが今ということなんでしょうね。逆に言うと
オリジナル盤を本当に楽しむなら「今」っていうことなんでしょうね(笑)。
ということで、この番組は、ジャズのオリジナル名盤を紹介してくれるっていうことと同時に、その盤をどう聞くかっていうオディオ的なアプローチ指南もあって、まさに1粒で2度おいしい内容になりそうな予感、、、期待でわくわくですね(笑)。
実にてきと~に聞いていたので、詳しい情報が知りたいかたは、今週のリピート放送を聞くべし!