アンドレ・プレヴィンについて書いたら、親切なお友達がこんなのあるけど見るとか言って、このDVDを貸してくれた。
" Bridge between two worlds "というタイトル
ジャズとクラッシック、ドイツとアメリカ、一見全く離れた2つの世界を自由に行き来するとプレヴィンを橋っていう言葉でシンボライズしたのかしらんと思いつつ観てみたら、まあそんな感じだっただけど、
彼はユダヤ人で、迫害を逃れて15歳の時に家族でアメリカに逃れたとのこと、、父親は英語もできないし、全くつてのないアメリカでもともとは会計士だったのだけど、ピアノの教師としてやり直して、なんとか成功したとのこと。で、やっぱり天才なんだね~。ジャズピアニストとして成功して、次には映画音楽の作曲、アレンジャーとして成功して、なんとオスカーを4回受賞するのだから、たまらない。んでももって、あんまり何回も結婚したもんだから、結婚・離婚のたびにオスカー像が散逸してしまって、今やどこに行ったからわからないなんて笑い話も出てくる。
もうひとつの橋= 指揮者・作曲家。あたしはプレヴィンの指揮したもので、一番好きなのはやはりウォルトンの交響曲2番(LSO)。これはキレっキレっの見事な演奏で、、うなってしまう。後はRVWの交響曲全集ぐらいかな。
彼の作る音楽は、DVDは当時の奥さんだったムターにささげたヴァイオリン協奏曲(これは持っている)とかオペラがかかるのだけど、、前にも書いたかもしれないけれど、プレヴィンの作る音楽はどれも非常の美しくてせつないのね、、、ひしひしと、、どこか遠くにある見えない何かを希求するような感じがあるのだけど、
もしかするとそ~いうのは、やっぱり小さいときに故国を離れて、子どもときの思いでとか、そういう大事な時間と場所を、もぎ取られた経験が創作の原点になっているから、そういう音楽になるのかもしれないなあと今回思った。
しかし、若い時分の彼は(特にイギリス時代)は本当にかっこうよかった、、女にもてないはずはない、、、しかも、語り口や雰囲気がとてもやわらかくって、優しくて、これは女にもてないはずがない。
元妻のミアファローがプレヴィンにメロメロだったことを話すけど、わかるわかるわかるね~。
その当時彼が出演したコメディ番組があるのだけど、これが実におかしい。
しっかし、この人ジャズもうまい! もちろんジャズピアニストでもあるからだろうなんだけど、、、
クラッシックとジャズを比較して面白いことを言っている。
「クラッシックを指揮しているときに、常に音楽のはじめとおわりを意識しているけれど、ジャズは「今」なんだ。今発生する音楽なんだ」。
とね、、
なるほど面白いなあと思った。確かにクラッシックにはスパンがあるけれど、ジャズ(特にいいジャズ)を聞いているときは、動いている感じ、進んでいる感じがあるものなあ。
あたしも、クラシックもジャズも同等に愛しているのだけど、やっぱりどちらの音楽も何かが違う。ジャズが表現する人のこころもちは、クラシックではあらわせない何かがある。ジャズが表現できないことをクラシックは表す、、どちらもすごい音楽だと思う。
後半、元妻のムターとの会話シーンがあるんだけど、プレヴィンってドイツ語はもちろんふつ~にできるんですね。だけど、ムターってこわそう(笑)。やっぱり世界に通用するような音楽家は主張というか個性が強いなあと思いました。だれかに感じが似てるなあと思ったら、ああ、内田光子さんだ、、この人の英語のインタビューを聞いたことがあるけれど、まるでドイツ人が英語をしゃべっているみたいで面白かったけど、、この人も自己主張が強烈だっていうのは話し方からわかった、、
もうひとつ面白かったのは、プレヴィンが息子たちと話をするところ。一人の息子はギンギンのロックアーチストになっていて、うでにはこれもんの刺青をしていて、すざまじかったのだけど、、彼が一番の思い出は父親がNHK交響楽団を振った音楽を聞いて感動したことだと語っていたのは、なんかいいなあと思った。
ちょうど、往年のジャズが4枚一組でなんと1千円というリアルゴーンシリーズのプレヴィン集を買って、聞いていたところにこのDVDで、さらにプレヴィンのことを知ることができた。
そういえば80年代が90年代にレイブラウンとかハーブエリスとかやったジャズがあったと思ったけど、あれはまだ入手できるんだろうか、、、
今度探してみよう。あたしとしては、プレヴィンはやっぱりジャズの方が面白い、、、