いやあ、やっぱフュージョンはよかね! ほんなこと、やっぱモロジャズとか、わからんけんね、、おれたちのジャズて やっぱフュージョンたいね、、
とか興奮さめやらぬあたしらが話をしていると、ステージにはわらわらとミュージシャンが登場してきました。
さきほどとほとんど変わらないメンツ、、ベースにスタン!(おおお!)、キーボードにジョージ・デューク、ドラムスにアル・フォスター、、 チューニングとかして、おります、、
そうこうしているうちに、あの方がサックスをもって出てきました!
そう、あの方、ミスター サキソフォンコロッサス! ソニー・ロリンズその人なのでありました。
あ~次はロリンズばい! ああ、サキコロの人だろ、、モロジャズの人ばいね、、ちょっと盛り下がるかもしれんなあ~とか話していたら、
フォービートでももないし、どちらかというとロックみたいなレゲエみあいな感じのリズムを、さっきまでギンギンにフュージョンやってた彼らが、タイトにしかし熱いリズムをたたきだした!
そこへ、いきなりロリンズが豪快なブローっ!
いっきなり 何じゃあ! おおおおっ! ばってん すっごかああ!
クールなおっとなあな4ビートで、椅子に座って傾聴スタンスを決めていたあたしらを、煽りまくるブローとビートは一体なんじゃ!
裏切られた! 完全に裏切られた!しかし、これはすばらしい裏切りだったのでした!
はじめて聞く曲ばかり、だけどぶっとびリズム隊がばかすか繰り出す、なんか知らん陽気なリズムの中で、ロリンズがブロー!
ときに繰り出すあの独特の
ボッ! ブッ! ブッ! ブッ! ボッ!
アクセントは、きまる! きまりまくるるるるう!
そうして、こちらの地平性から、あちらの地平性へ、会場を覆うでかいテントさせ飛び越えて、天頂を突き抜けて大きなアーチを描きつつ、さらにどこまでものびて伸びていく、ソニーの必殺の永遠につづくかに思われたブローに、、、
もう、若いあたしらは、思わず椅子から立ち上がっておりましたの、、 そうして、何にしろ、バックはスタンにデュークにフォスターな訳だから、もう、若いあたしらは、またもや、こぶしをつきあげて、会場は、もうよさこい? いや、会場見渡す限りおどる阿呆に、吹く阿呆状態なのであったよ~!
告白するけれど、その当時、あたしら、ロリンズなんかしっかり聞いたこもなかった、、ああ、あのモヒカンのおっさんでしょ、、大昔のもろジャズの人でしょ、、もう大体落ち着いている人なんでしょ、、
てな感じで、もうまったく期待してなくて、本当はスタンのバンドが終わったら、かえっても良かったんだけど、やっぱりほらもったいないから、見ておきましょぐらいの乗りでしかなかったのでしたよ、、
でもね、正直、ぶっ飛んだソニーのブローに! というか彼の音楽に、、
まさに初めて聞く音楽に、これだけこころがうごかされたのは生まれてはじめての経験でした。
ジャズとかなんとかという前に、ソニー・ロリンズっていう人がやってる音楽のすごさに圧倒されて、身もこころもゆさぶられたのでした。
すごい音楽っていうのは、はじめてそれを聞いた人でさえもゆり動かす力が本当にあるんだっていうことをあたしに教えてくれたのがくれたのが、誰あろう、この日のソニーロリンズでした、
(これと同じような体験は、それから約20年後の、チェリビダッケのブルックナーの4番のみ、あれは空前絶後の音楽体験だった、、)
もう、本当にふと気づくと、ロリンズの熱い熱いしかし豊かな音楽のふところの中で、あたしらはこぶしを突き上げて、彼の音楽とひとつになってましたね(大爆笑)。そうとしかいいようがない、、
そうして、最後の「セントトーマス」の熱狂と興奮の中で、いつの間にか、ロリンズのステージは終わっていました、、、(セントトーマスだけは知っていたのだ、、)
よかったね~ロリンズ、、ほんなこつ、あれがほんとのミュージシャンたい! いや、ほんとのグッドミュージシャンたい!
おれ、これから、マジでジャズば聞くけん! ロリンズから聞くけん!と高校からのギターのともだちは、宣言した(もちろん今に至る)。
なんとか深夜家に帰ると、おふくろが、ど~だったといって、あたしと今夜はとめてというギターの友達に、なんとステーキを焼いてくれた、おいしかったあ、、そうしてあろうことか、デザートにメロンを出してくれたのだった! それが、あの皮がつるつるのあれぢゃなくて、皮がギザギザの ほら高級なやつ!
あたしらはなんて、ぜ~たく、なんておいし~おっかあありがとね~とかわめきながらいただきました。
ライブアンダースカイが始まったのが80年ごろ、、、このころから日本の景気はどんどんよくなってバブル突入寸前でしたね、、それにあわせて、あたしらの食卓もすごくぜ~たくになっていきましたね、、
お肉やメロンやバナナは、あたしらが小さいころは、本当にぜいたくな食材でお祝いとか特別な機会でないと食べられなかったけれど、このころからふつうに食卓に乗るようになってきました、、
バブルははじけとんで何も残さなかったけれど、あの日のロリンズのブローはあたしのこころにまだひびき続けています!
サンキュー ミスターサクソフォンコロッサス! イェィ!