東京でしがないサラリーマンをしているころ、楽しみは、音楽やオーディオ雑誌を買って通勤電車の中で読みふけることでした。
ステレオサウンドは、分厚くて電車の中で立ったまま読むのは難儀だったけれども、それでも読みました(笑)。あの頃ステサンで紹介されていた機器なんかは、ハイエンドと言っても、がんばれば手の届きそうなお値段のものが多くて、お~し、いつか絶対これ買うぞっ!てなぐあいでモティベーションがあがったものでしたが、、(今や天文学的な価格のものがほとんどになって、まさに夢のような世界にいっちまいましたが、、)。
ステサンとあわせて毎月楽しみ読んでいたのが、「レコード芸術」。
毎月の特集で、クラッシック音楽の知識を深めることができたし、その頃は吉田秀和先生も元気に執筆されていました。なにより毎月のCD評を読んで気になるものがあったら、石丸電気に駆け込んで輸入盤を探しておりましたね。なにかこ~情報と行動がこの雑誌によって直結されていた感じがありました。良い時代だったなあ。
今や、レコード芸術は、買うこともなく、町の図書館に入っているので、毎月借りてきては楽しみに読んでいたのでしたが、、
で、過日も、図書館で3月号を借りて来て、テーブルの上に置いたおいたら、かみさんが、あ~この雑誌、6月で休刊になるって新聞に書いてあったよ~というので、ええっ!と驚いた。でもって、ネットで音楽の友社のサイトにあたってみたら、たしかに6月を持って休刊というアナウンス、、休刊というと優しく聞けるけれども、まあ、ありていに言えば廃刊ですね、、、
しかし、正直、まさかあの老舗雑誌の「レコ芸」がなくなるとは、、クラッシック音楽ファンとしては、大きなショックですね。
やはり、どうしてもこの雑誌からでなければ得られない情報が毎月満載であったから。特にあたしの大好きな片山杜秀先生のレコード小説とかは、楽しみだったのでしたが、、、
はじめて、この雑誌を知ったは、80年代のはじめかな、、、その頃は表紙に劇画調で写実的に指揮者や演奏家の似顔絵が載っていましたね。ちょうど晩年のベームの人気がすごいときで、最後のライブ盤とかが出た頃だったか、ベームの似顔絵が表紙になったけれど、正直、あれはこわかくて、ドン引きした覚えがあります。
毎月買ってたのは、上に書いたとおり、サラリーマンをやってた頃だなあ。それでも、この頃もレコードアカデミーが発表される号は、ときどき買っておりました。ついこの間、買い求めたバッハのCDは、レコードアカデミー受賞盤。
雑誌の最後の方には、オーディオの記事もあって、これも楽しみでした。こてこてのオディオファン向けではなくて、音楽をそこそこいい音で聞きたい音楽ファンを対象にしたオディオ記事で、面白かったなあ。
バーンスタィンやカラヤンがなくなった後に、レコ芸が追悼特集を組んで、詳細な情報を掲載していました。カラヤン特集はまだ持っているけれど、バーンスタィン特集号は、行方不明、、どこへいったのか、、
雑誌が売れない時代だって聞いてました。
その上、クラッシック音楽を熱心に聞く人口も減少しているのでしょうね。要するに売れなくなってビジネスとして採算が合わなくなったていうのが理由なんだろうけれど、、そう考えると、クラシック音楽をそこそこのオディオシステムで聞いているあたしなんかは、もう、ほんとに少ないんでしょうね(笑)。
坂本龍一さんが亡くなったので、ネットでいろいろ関連情報とか動画を見ていたのだけど、その中で、同氏がクラシック音楽について言及しているものがありました。
いわく「人類最高の音楽はバッハの作品」と言ってました。
人類なのに、バッハの音楽を一生聞かない人が、今やマジョリティなんだろうなあ、、なんかもったいない気もする、、
とは言え、あたしもバッハいいなあと感じはじめたのは、つい最近のことだから、人のことは言えない、、
それにしても、長年、つかずはなれず付き合ってきた、レコ芸が、なくなってしまうというのは、時代の流れでしょうがないことであるけれど、とてもさみしいです、、、